デタラメ回答

 2択選択○×問題が10題をデタラメに答えて合格の60点が取れないものでしょうか?デタラメに10個も○×をつけるのは案外難しいことです。そこで乱数で実験してみましょう。
Excelを開きセルA1に =rand( ) と入力すると0以上1より小さい乱数が小数で表記されます。セルB1に =rand( )*10 と入力すると0以上10より小さい乱数が表記され,またセルC1に  = int(rand( )*10) と入力すると,小数部分は切り捨てられて0から9までの乱数が整数で表記されます。 今,○を1で,×を0であらわすこととします。セルD1に = int(rand( )*2) と入力すると0から1までの整数で乱数が表記されるから,D1をD2からD10までコピーすると 10個の乱数が得られます。合格には○が6個以上あればよい,すなわちD1からD10までの和が6以上であれば合格です。D12の値がその和であり,6題正解だった,しかし再度実行すると別の値になりいつもうまくいくとは限りません。このような試みを10回やってみた結果がD列からM列までの数値で合格は6回となりました。10回中6回もうまくいけそうで,確率60%といっていいのでしょうか?本当にこんなに高確率なのでしょうか?1000回やってみたら,10000回やってみたらより正確に求まるはずですが,セルには書ききれません。そこでマクロプログラミングしてみます。途中の値を省略して結果だけ求めると1万回中 3802回(D14の値),38% となりました。何回かやってみて35〜40%あたりに落ち着きそうです。
フォームで計算します。  回中
 デタラメとかランダムということは○の起こる確率=×の起こる確率=0.5 ということです。10問中正解数を r とすると,10問中○が r 回起こり,×が10−r 回起こり,10回の事象は独立だからその確率は 0.5r 0.5(10−r) となります。 r=0,1,2,・・・10 の11通りの場合があり,各 r について10r通りの場合があります。以上を数学的に定式化しましょう。確率 p で起こる独立な事象が n 回の試行中で r 回起こる確率は次の2項分布で表されます。
P(r)=nCrr(1−p)(n−r)   ここで n=10,p=0.5 であるから  P(r)= 10r(0.5)10
 6問以上正解となる確率は r=6,7,8,9,10 についてP(r)の和となり,その値は0.376953125 約37.7%です。 実はExcelにはこのP(r)を計算するための binomdist(r,n,p,0)という関数が装備されています。4つの引数があり,最後の引数は関数形式といわれ,0または1をとります。0を1に変えたものは r についての累積であり
 binomdist(r,n,p,1) =binomdist(1,n,p,0)+binomdist(2,n,p,0)+・・・+binomdist(r,n,p,0)
よってbinomdist(5,10,0.5,1)は0≦r≦5となる確率だから求める確率は1からこれを引けばよいことになります。 一般化して問題がm個,選択肢がs個あるとき,ランダムに6割以上正解となる確率は 1−binomdist(m*0.6-1,m,1/s,1) で求まります。

 2択10題では38%も可能性があったが,s,m が増加すれば確率は当然下がり,3択30題でわずか0.2%の可能性しかないということになりました。