「TOSBAC‐1100D」が情報処理技術遺産に。本学7機種目

一般社団法人 情報処理学会から「情報処理技術遺産」の2015年度「認定機器」に選ばれた「TOSBAC‐1100D」=京都駅前校 KCG資料館
一般社団法人 情報処理学会から「情報処理技術遺産」の2015年度「認定機器」に選ばれた「TOSBAC‐1100D」=京都駅前校 KCG資料館

京都コンピュータ学院(KCG)と京都情報大学院大学(KCGI)などKCGグループが京都駅前校で保存・展示している東京芝浦電気 株式会社(現:東芝)製のコンピュータ「TOSBAC‐1100D」が,一般社団法人 情報処理学会から「情報処理技術遺産」の2015年度「認定機器」に選ばれ,2016年3月10日に横浜市港北区の慶應義塾大学 日吉キャンパスで開催された同学会第78回全国大会で京都コンピュータ学院の長谷川晶理事長が,同学会の富田達夫会長(独立行政法人 情報処理推進機構理事長)から認定証を受けました。本学からは2008年度に全国第一号認定を受けた「TOSBAC-3400」と「OKITAC 4300C システム」,2010年度の「NEAC‐2206」,2011年度の「NEACシステム100」,2012年度の「MZ-80K」,2014年度の「PDP‐8/I」に続き7機種目となります。

「TOSBAC‐1100D」は1964年に開発・発表され,KCG洛北校が1970年からコンピュータ教育のため使用していました。同学会は「情報処理技術遺産」認定の理由として「初期のオフィスコンピュータのひとつで,中小企業でも導入しやすいレンタル価格を低く設定し,コストダウンと業務環境の確保を実現した貴重な機器」と評価しています。

KCGグループでは,創立以来50年以上の永きにわたって教育・実習・研究で使用してきた過去のコンピュータ等を「KCG資料館」として保存し,広く一般にも公開しています。KCG資料館は2008年度,情報処理学会より「分散コンピュータ博物館」に全国で初めて認定されました。本学では,日本の高度成長を支えた技術を次世代に継承していこうと,京都駅前校を「コンピュータ博物館」として整備し,研究・教育の場として広く活用してもらおうと計画中で,国や京都府,京都市,学会・教育界・企業など関係者に支援と協力を呼び掛けています。

TOSBAC‐1100D

東京芝浦電気 株式会社が開発したTOSBAC‐1100シリーズのモデルのひとつ。このシリーズは初期のオフィスコンピュータに位置付けられ,最初のモデルは1963年6月に発表,TOSBAC‐1100Dモデルはその翌年1964年4月に発表された。

紙テープにせん孔されたプログラムを一命令ずつ読み込んで実行する,いわゆる外部プログラム方式を採用し,その主要内部素子にはトランジスタ,ダイオード,磁気コアを用いた。機器構成はタイプライタ,プロセッサ,プログラムリーダ(紙テープ読み取り装置),データパンチ(紙テープさん孔装置),データリーダ(紙テープ/エッジカード読み取り装置)である。

中小企業での導入のしやすさを狙いレンタル月額を当時の事務員1人の人件費を意識した7万7千円に設定した。また,使用条件も一般の電子計算機よりも許容範囲を広く取り,温度は20±15℃,電源は電圧100±10ボルト,周波数50Hz/60Hzであった。

~一般社団法人 情報処理学会発刊「情報処理技術遺産 2015年度」より

「情報処理技術遺産」の認定証を受ける京都コンピュータ学院の長谷川晶理事長(左)=2016年3月10日,横浜市港北区の慶應義塾大学 日吉キャンパス
「情報処理技術遺産」の認定証を受ける京都コンピュータ学院の長谷川晶理事長(左)=2016年3月10日,横浜市港北区の慶應義塾大学 日吉キャンパス
KCG洛北校では1970年からコンピュータ教育のため使用していました
KCG洛北校では1970年からコンピュータ教育のため使用していました