日本シリーズ

 「今年の日本シリーズは大接戦です。両チームの実力は全く互角ですから、最終の第7戦までもつれ込む可能性が非常に高いでしょう。」 はたしてこの野球解説は正しいでしょうか?これは「ニュートン4月号」に載っていたクイズです。「統計解析」のイントロにちょうどいいネタが見つかった。
実力伯仲なら第7戦までいきそうだが,結論から先に言うとこの予想解説は間違い,第7戦までもつれ込む確率は3分の1もありません
セリーグが勝つ場合を列記すると次の35通りあり,その各々の確率は
  • 4勝0敗する場合は1通りで,その確率は0.54×1=6.25%
  • 4勝1敗する場合は4通りで,その確率は0.55×4=12.5%
  • 4勝2敗する場合は10通りで,その確率は0.56×10=15.625%
  • 4勝3敗する場合は20通りで,その確率は0.57×20=15.625%

    すなわち第6戦で終わる確率と第7戦で終わる確率は全く同じです。これらの確率の和が0.5となるのは当然ですね。パリーグについても同様だから,求める確率は15.625%の倍で31.25%。 ややこしそうだが、すべての場合を書き出してみてください。 もちろん実力は完全に互角で、引き分けはカウントしないという前提です。

    今まで行われた58回の日本シリーズの中に、7戦目までもつれ込んだのは合計で20回、引き分け3回を除くと17回です。それを基づいて計算してみると、7戦目まで行く確率は,引き分けを除いたら17/55=約31%で計算値通り!(うまくいき過ぎ)
    今までの58(55)回の日本シリーズは、毎回毎回「互角」とは考えられにくい。実際には途中で選手が不調になったり、雨だ降ったり、球場の移動があったり、ファンのヤジがあったり,シーズン中は大活躍でもシリーズではさっぱりだったり,逆にラッキーボーイが出てきたり・・・ むしろ過去の実データが計算値に非常に近いのにはホントに驚きです。 「互角以外」も含めたら、実際の確率は31.25%よりも若干低くなっているはず…です。