今,晴明は星になった

 京都の堀川一条を上がって,晴明の旧宅跡と言われるところに晴明神社があります。社伝によると,晴明の没後まもない1007年に創建されました。この神社なぜか東向きで(ほとんどの神社は南向きですが)五芒星のマークが特徴的です。
 晴明を祭った神社には他にも
  安倍晴明神社,阿倍王子神社(大阪市)
  晴明神社,(名古屋市,岡崎市,茨城県)
  安倍清明大神(鎌倉市)
などがあります。さらに伝承の地は全国に多数あります。 彼の前半生はなぞに包まれていて,ようやく40歳で「天文得業生」としてデビューします。これは優秀な天文生に与えられる称号です。52歳で天文博士となってからは多忙な業務をこなしていたようです。彼の勤務先,陰陽寮の天文分野では約10名のメンバーで観測当番をこなしていたのですから,それだけでも相当大変な仕事だったでしょう。さらに昼の主な仕事は各種公式行事への参加,天皇・皇族・貴族のための占いや祈祷・・・などなどです。晩年は藤原道長(966-1027)の信任が厚く,80歳で従四位下,82歳で大膳太夫・左京権太夫に任じられ,84歳のとき道長のお供で宇治に行っています。また没年まで諸行事を行うなど現役として活動しています。晴明は「大鏡」「三代実録」「続日本紀」などの史書,「今昔物語」「宇治拾遺物語」「日本霊異記」などの物語,また各地の民話や北斎の画など,1000年間も人々を惹きつけ語り継がれてきました。その間に天文学者としての晴明は忘れられて,マジシャンとしての姿が強調されてしまいました。
 この1000年前の天文博士にちなんで名づけられた小惑星があります。その名はSeimei,1976年に木曾観測所で香西氏(現佐治天文台長)の発見によるものです。 Seimeiは現在,地球から5億kmの彼方にあり,約5年の周期で太陽の周りを回っています
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