Tasty Curry(カレーのレシピ)

おいしいカレーライスの作り方


[ブログ(カレーの作り方詳細)へ]

[京都コンピュータ学院ホームページへ] [京都情報大学院大学ホームページへ]

A picture by Aki Kishimoto


アブストラクト(または心得)

スパイスに,玉ねぎとかビーフとかほうれん草をあしらって食べるというつもりで作る。間違っても,「カレーとは,玉ねぎとほうれん草をスパイスで煮た料理」とか,「カレーとはシチューをスパイスで味付けた食べ物」などと考えてはいけない。カレーに使うスパイスは胃に良い。また,コリアンダーやシナモンには鎮静作用がある。「スパイスを鍋一杯食べて,汗を流し,暑さで弱った内臓を活発化して,代謝を高めて健康になる料理」というのが,保守本流のカレーである。下記のスパイスを全部使うと,小麦粉を使わずとも各種スパイスの含有する独自のとろみが出るので,目一杯入れる。


カレーの材料(カレー寸胴鍋1杯分)

スープストック 寸胴鍋大1杯(鶏ガラ5羽分のスープ)。

玉ねぎ 20個以上,ほうれん草 5束(多すぎるとだめ。くどくなる)。

バナナ 8本程度,にんにく 5個以上。

ピーマン 8個程度(最後の香り付けに入れる。入れなくても良い)。 生姜 1カケ。

トマト 3個(良く熟れたもの。若いと酸味が出る。入れなくても良い)。

牛バラ肉 1〜2Kg(オーストラリアからの輸入肉がしっかりしていて,煮込んでも崩れない)。

鶏肉(セセリ)500g〜1Kg(牛肉の半分〜1/3くらい)。ミンチを入れても良い。一番安いところ(首肉,セセリ)が,ゼラチンが多くて良い。

スパイス1/オリジナルブレンドのカレー粉(カルダモン 小ビン1.5個,ターメリック 40g,フェネグリーク 10g,コリアンダー 30g,クミンパウダー 30g,フェンネル 10g,シナモン 10g,スターアニス 5g,セイジ 5g,タイム 10g,ペイリーブスパウダー 10g,クローブス 5g,ナツメグ 5g,ジンジャーパウダー 5g,ブラックペッパー 5g,ホワイトペッパー 5g,カイエンペッパー 5g,オールスパイス 5g,デールパウダー 5g,オレンジピール 20g,オレガノ 10g,バジル 5g,)

以上を混ぜると,全部でおたま3〜4杯くらいの量になるので,オリーブオイルで軽く炒めながら練る。(香りはカルダモン,タイム,コリアンダー,クミンを多い目に,オールスパイス,クローブス,ナツメグが少量で決め手になる。辛さはブラックペッパー,ホワイトペッパー,カイエンペッパーで調節する。)

他に,煮込み用にローレル 20枚程度。

スパイス2/カレー粉 SBの小缶 3個,ハウスジャワカレーのルゥ(大辛と中辛を各1パック混ぜる),ブイヨンの素(マギーブイヨン,他はペケ),中華チキンスープの素,塩,オリーブオイル大 1ビン,牛脂 3カケ,チキンオイル 少々。(オリーブオイルではなくギーが本流であるが,日本では手に入りにくい。)

他に,薬味としての酢漬け生姜(市販の紅生姜でもよい)。


カレーの作り方

タマネギ15個くらいを薄切りにして,お玉2杯のオリーブオイルで,こげ茶色になるまで炒める(1時間以上)。スープストックに,炒めた玉ねぎを入れて煮る。牛脂1カケとチキンオイルでにんにくを炒めて香りを付け,牛肉と鶏肉をよく炒めてから鍋に入れる。残りのにんにくは薄切り,バナナとトマトとほうれん草をミキサーで砕いて(細かく切って)流し込む。カレー粉はオイルで軽く炒めて香りを立たせ,練ってから鍋に溶かしこむ。残りのスパイスを適宜入れる。カルダモンが香り付けの為に一番重要なので,1ビン入れる。シナモンはきついので少々に留める。他のスパイスは味を見ながら多い目に。胡椒や唐辛子のたぐいで辛さを調節する。それぞれ小さじ1杯以上入れるつもりで,スパイスを惜しまない。スパイスのバランスが崩れたら,煮込んで香りを飛ばしてから,他のスパイスを多い目に入れて調節する。そして5時間ほど煮込む。しかる後に1日寝かせる。次の日になったら,玉ねぎ2個をサイの目に切り,飴色になるまで炒めた後,ほうれん草3束くらいと共に,鍋に入れて30分程度煮る。食べる直前に細かく切ったピーマンとカルダモンを小さじ1杯とカレー粉,ホワイト&ブラックペッパーを適宜入れる。生姜を少々すって入れると爽やかな味になる。薬味の酢漬け生姜と共に食卓へ。カレーは多く作る方が美味くなるので,たっぷり作って3日間毎日食べて,飽きたら残りは近所に配る。


カレー作りのコツ

バケツ一杯くらいのたっぷりの玉ねぎを,焦げる直前まで(チョコレート色になるまで)よーく炒める。チンパンジーでもギョッとするくらいのバナナを入れる。にんにくは明日外出できそうにないくらい入れても,他のスパイスに吸収されるので,平気平〜気。バナナと玉ねぎの甘味が,それぞれ個性の強いスパイスの混在に一体感を出す。カレー粉(スパイス)はお玉1杯程度のオリーブオイルで,炒めながら練る。カルダモンとオレガノは小ビン1本ずつ入れる。この小ビン2本だけで1000円以上かかるので,パチンコで負けた時の事を思い出す。カレー粉は「絶対,身体に悪そう」なくらい入れると胃に大変良い。オリーブオイルはシシリーのコルレオーネ家の一員になった気分で,ビン1本使う根性で多い目に入れる。ヘット(牛脂)とチキンオイルはあまり入れない方があっさりするので,これだけは控える。結果,コレステロールも低くなる。ただし,ライスにかけた時にちょうど良いように,ブイヨンやチキンスープの素で,塩気をやや強い目にして血圧を上げるようにする。アミノ酸の量(出汁の味)を濃い目にするのが秘訣中の秘訣。1日寝かすとスパイスが融け込んで味が出る。我慢して次の日まで待って,美味い米を炊いて食べる。ピーマンは最後の香りづけのために入れるので,あまり煮ないほうがよい。作り終わったら家の換気をすること。絶対,換気した後の部屋で食べる。においの残る部屋で食べると肝心のスパイシーさが解らなくなる。カレーを保存する場合は,冷凍すると極端に味が落ちるので,ビンに入れて湯煎し,冷蔵にする。


Curry(Curry and Rice)を作るときの注意点を次に列挙する。

  • ベースのトリガラスープは必須。

  • ヘットを多くすると,喉に脂がへばりつく感じになるので少々に。一方,オリーブオイルは多い目に。

  • バナナとほうれん草,トマトはミキサーで細かく砕くと舌触りが滑らかになる。人によっては,バナナは少な目の方が良いかもしれない。トマトは入れない場合が多い。

  • 小麦粉でとろみを出すと,ルゥが奥歯に絡み付くので入れない。メーカー物のルゥには小麦粉が多く含まれるので,あまり入れないほうが良い。

  • メーカー物のルゥを使う場合は,ハウスのジャワカレーに限る。辛口と中辛を混ぜて。ただし,あくまでも添え物程度と考える。メーカー物のルゥを多くすると,ベタベタとくどくなる。

  • カルダモンは煮込む時にたっぷりと入れ,食べる直前にも入れて1分ほど煮る。軽く火を通したカルダモンが舌の上でチリチリ弾けて,ペッパーの辛さを躍らせる。

  • 牛肉は網焼きにして,焦げ目を付けてから入れると,カリっとして良い。煮込み用にはミンチにして,食べる直前にサイコロステーキを網で焼いて添えると豪奢になる。牛肉を入れすぎると,ビーフシチューみたいになって,くどくなる。フォンドボーは胃酸の分泌を促すので,胃炎持ちの自分はあまり感心しない。


カレーの薬味とライス

薬味にはフクジン漬などはもっての他で,これだけは絶対に合わないと考える。数々の事例から,らっきょうもイマイチと結論せざるを得ない。どんな形であれ,料理は砂糖が入るとあかんのや。市販のチャツネも砂糖が入っているのでボツの範疇に入れた。そこで,薬味は自分で作る「酢漬けの新生姜」に限る。故に,それを作る。カレーを仕込む日に,生の新生姜を薄く切って,塩でもむ。しんなりしたら,その上から米酢をひたひたになるまでかける。一日漬け込むと食べられる。これはカレーにも,寿司にも合う。数ヵ月はもつと思われるので,新生姜の出回るときに大きな広口ビン一杯作っておく。(生姜と塩と酢だけで,砂糖は絶対入れない。築地の寿司屋が言うように,江戸前の寿司のガリにも砂糖は入れないのが本流。砂糖が入るとあかんのや。)面倒なら,3歩程譲って市販の紅生姜でもよいケド。

どうしてもチャツネを使いたい場合は,皿の上で混ぜながら,味を見て調節する。煮込むと酸っぱくなる場合がある。

米は普通に炊く。干葡萄やドライココナッツ(砂糖なし),アーモンドスライス(洋菓子の材料)を入れて炊いても美味い。オリーブオイルか無塩バターを入れて炊いても良い。塩気抜きの焼き飯でもいい。スパゲッティにかける場合は,カレーを濃い目にする。

うどんにかけてもいいけれど,うどんは讃岐の釜揚げと大阪に普通にある普通のうどん屋で食べるに限ると思う。玉子どんぶりを食べるならば,京都コンピュータ学院洛北校から東にまっすぐ行って路地を入ったところにある,北白川の祇園門がダントツで一番である。蕎麦を食べるなら福井の「つるつる」が好きやね。福井や丹後や能登の日本海,紀州は有田,関東は湘南や房総で,泳いで潜ってサザエを獲って食べたけど,生息地の海草や藻が違うからか,南紀勝浦のサザエが一番美味い。勝浦漁港の裏通りに,魚屋と飯屋を兼ねた店があって,そこの鮪のカマの塩焼きは最高やった。鮑も泳いで潜って獲って食べたけど,他人が獲って他人が料理した,伊勢のかの有名な志摩観光ホテルのアワビステーキと,シンガポールのチャイナタウンの百貨店にある大衆中華料理屋のアワビのオイスターソース煮が本当に美味かった。両方とも,食べながらえへらえへらと笑ってしまった。ただし,店が遠くて,あまりにも高価なので,それぞれ一回しか行ったことがない。鯛と蛸は明石でなければいけない。特に鯛は,日本海,紀州水道,南紀勝浦,それぞれ釣ったり買ったりして食べたけれど,絶対,明石鯛に限る。明石の駅前商店街に,「魚の棚」という通りがあるから,朝,そこ行って鯛の浜焼き買って,かぶりついてみ。明石の鯛の刺し身もうまいで。タイと言えばバンコックでは,カエルの炒め物も美味いし,プラーブックという大ナマズも美味い。タイ式のココナッツミルクで作ったカレー(グェンキャオワン)が飛び上がるほど辛くて甘くて香り高くて美味いので,いつもタイに行くと食べている。カレーの話に戻ったので,次に結論を記す。


華麗なる結論

以上より明らかなように,ケチャップで和えた,京都のうどんのように柔らかいスパゲッティとともに,小麦粉とろとろの福神漬で食べるカレーは,高度成長期の日本式邪道輸入料理であってカレーではないと考えるのが妥当である。そういった文化変容と言うべき輸入料理は,日本のいわゆる洋食屋さんに今尚残存するので,しかるべき洋食屋に行くと良い。阪急百貨店の東南にコロナ食堂という旧い洋食屋があって,玉子サンドが美味い。とんかつは新宿区立図書館の前にあるとんかつ屋さんのロースが最高である。(個人的にはカツカレーは味の分からない人が考え出したと推される品のないアレンジであると思う。カレーのスパイスが豚肉の味わいを消してしまうではないか。)

最後に,このカレーの歴史的由来を付記することとする。本稿のカレーは,インド(India)の山奥で生まれ,ダイバダッタの魂を宿した有名なコックのレシピを元にインドで流行し,その後文化伝播で日本にやってきて文明開化とともに各種分派したカレーが原点である。インド人のコックとは会った事も無ければ言葉も分からない筆者が,それを勝手に解釈して,ボストン(Boston)とロンドン(London)のインド料理屋や東京や京都の洋食屋やカレー屋,そして,他人の家を食べ歩いて研究と思索と試作を重ねた末に,アインシュタインの相対性理論の如く,あらゆる既存のカレー概念をアウフヘーベンしてしまい,独自に編み出した究極のレシピで,結局のところ実はインドとはなんら関係無いものである。従って,文化変容の個人的結果のひとつであると言い得よう。なお,笑福亭鶴瓶さんはどこかのテレビCMで「美味いものは美味い」と言っていた。ちなみにアメリカ(the USA)には,ステーキ(Beef steak)以外に美味いものは一切ない。良くここまで読んでくださいました。ありがとうございます。