KCGがベトナム企業と提携,通信制学科でIT人材を育成します

調印式に現地参加したVTI,KCG双方の代表者ら(2022年1月12日,KCG京都駅前校)
調印式に現地参加したVTI,KCG双方の代表者ら(2022年1月12日,KCG京都駅前校)

京都コンピュータ学院(KCG)は,ベトナムでのIT人材育成を共同で推進するため,ベトナム・日本のIT業界における大手オフショア開発企業であるVTIグループに所属し同国でIT教育関係事業を手掛けるVTI Education(本社ハノイ)と2022年1月12日,協力協定を締結しました。共同事業での人材教育には,KCGに今春新設される国際応用情報学科(通信制4年)を活用します。わが国初のコンピュータ教育機関で優秀な人材を輩出するKCGとベトナムの大手IT企業の提携により,国際的視野,広範な知識を得て,将来日本と同国の各業界で活躍する高レベルで専門的なIT人材が育つと期待されます。

VTI Educationは毎年,IT分野で活躍できる数千人の学生を育成し,ベトナムおよび海外の企業に卒業生を紹介しています。今回の提携では,学生がまずベトナム国内でKCGの4月にスタートする通信制の国際応用情報学科に入学して勉強し,将来は来日して全日制課程で継続して学び,日本語とITの知識・技術を磨くことを予定。卒業後は日本のIT企業や,日本とベトナム両方で事業展開するVTIへの就職を目指します。

1月12日にKCG京都駅前校で開かれた協定合意文書の調印式には,VTI側から株式会社VTIジャパンのグエン・ハイ・ズン最高執行責任者,KCGからは寺下陽一京都駅前校校長が臨みました。ベトナムからオンラインで,VTI本社およびVTIジャパンのチャン・スアン・コイ最高執行責任社長(CEO),VTI Educationのグェン・クェット社長が参加しました。寺下校長が「勤勉さで有名な国の若者たちの教育事業に参画することになり,非常に光栄で,教育者としてやりがいのある仕事と感じております」とあいさつ。クェット社長は「この国際人材教育事業にて学生を育成することにとどまらず,将来的に京都コンピュータ学院のオープン大学になることを目指していきたく思っております」とあいさつしました。

KCG新設の国際応用情報学科では,最新の学習管理システムを利用し,世界中の好きな場所から好きな時間に学ぶことができます。卒業すると大卒と同等の「高度専門士」号が取得でき,さらに高度な知識と技術を学ぶため京都情報大学院大学(KCGI)に進学する道も開かれています。KCG・KCGIは大学と企業の連携(大社連携)という新たな視点で通信教育を展開しています。

KCGグループは海外での教育ネットワーク拡大と充実を図っています。ベトナムとの交流も活発で,KCGIは2005年1月に大手のソフトウェア会社FPT社と業務提携締結,2014年4月にFPT大学(FPTU)と,2019年12月にハノイ国家大学工科大学(VNU-UET)と,2020年4月には国立フエ大学(HU),国立ダナン大学(UD)と大学間交流協定や学術共同計画協定を締結。同年6月にはKCGとKCGIがハノイ国家大学人文社会科学大学(VNU-USSH)と大学間交流協定を結んでいます。

調印を終えた株式会社VTIジャパンのグエン・ハイ・ズン最高執行責任者とKCGの寺下陽一京都駅前校校長(2022年1月12日,KCG京都駅前校)
調印を終えた株式会社VTIジャパンのグエン・ハイ・ズン最高執行責任者とKCGの寺下陽一京都駅前校校長(2022年1月12日,KCG京都駅前校)
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伊藤博之KCGI教授がオンライン特別講義「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」

「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」と題したクリプトン・フューチャー・メディア代表取締役・伊藤博之KCGI教授のオンライン特別講義。(2022年1月14日)

「初音ミク」は2007年8月31日に誕生したバーチャルアイドルです。歌詞とメロディを入力すると音声合成で歌ってくれるソフトウェアであり,身長158センチ,体重42キロ,16歳の人気「キャラクター」です。国内外でライブコンサートが開催され,日本文化を世界に発信するクールジャパンの象徴的存在になっています。

伊藤教授は「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」と題した講義で,クリプトン社の事業を紹介したうえでコンピュータ・ミュージックの基礎を解説しました。そして「コンピュータにインストールして使うソフトウェア化された楽器のことをバーチャル・インスツルメント(仮想楽器)といいます。『初音ミク』は歌声のバーチャル・インスツルメント。ヤマハのボーカロイド技術を使って開発しました。当社がやるまで全くなかった試みで,キャラクターを付けて出しました」と説明しました。

キャラクター化が奏功し,音楽だけでなく「初音ミク」のイラストやCG,コスプレなどを創作してインターネットに投稿する人たちが次々に現れ,創作の連鎖が世界中に広がりました。伊藤教授は,「『初音ミク』をキャラクターとして使いたいという要望が非常に高くなり,権利をどうスムーズにクリアするかということに本社も取り組んでいかざるを得なくなりました」と明かし,権利処理のためライセンスを公開するとともに,コンテンツ投稿サイト「piapro(ピアプロ)」を開設して,創作が生まれやすい環境を整えた経緯なども詳しく述べました。

「初音ミク」は誕生から14年が経ち,大勢のクリエイターによる二次創作・三次創作の結果,歌や音声にとどまらず,ダンスや動画,コスプレ,フィギュアなどへとその表現方法が広がりました。ファッションやオペラ,ロボット,ゲーム,和太鼓,テレビの人気アニメキャラクターとのコラボレーションなどのほか,グッズ展開も拡大が続いています。伊藤教授は「コンテンツは,使えば使うほど価値が増える法則がある。いかにいろんな人に使ってもらうか,コラボレーションしていくかは,すごく大事なことだと思っています」と語りました。

コロナ禍にあっても「初音ミク」は活躍中です。公演やイベント出演がめじろ押しで,2013年から毎年開催されている3DCGライブと創作の楽しさを体感できる企画展のイベント「初音ミク『マジカルミライ2021』」は2021年10月22日〜24日に大阪市,11月5日〜7日に千葉市で開催されました。9月には,2年ぶりに京都南座で中村獅童さんと共演する「超歌舞伎」を上演しています。海外版マジカルミライともいえる「MIKU EXPO」は,2020年4月から5月にかけアメリカとカナダの12都市で公演予定でしたが,新型コロナの世界的感染拡大のため2度延期の後,中止に。しかし,2021年は「MIKU EXPO 2021 Online」として6月6日にオンライン開催,世界に配信されました。商品展開も相次いでおり,ソニーがワイヤレスイヤホンに「初音ミク コラボレーションモデル」を追加,ティアックは初音ミクデザインのBluetooth搭載ターンテーブルを2022年3月に発売します。明和電機は音符の形をした電子楽器の「初音ミク」バージョンを出しました。

伊藤氏は,2013年4月にKCGI教授に就任しました。同年秋には国際的な活動と技術革新が認められ,藍綬褒章を受章しています。KCGIとKCGには相互に授業を聴講できる仕組みがあります。KCGIのコンテンツビジネス関連を学ぶ学生だけでなく,KCGのアート・デザイン学系,デジタルゲーム学系,コンピュータサイエンス学系情報処理科IT声優コースなどコンテンツ関連の学生たちも,伊藤教授の取り組みから多くを学ぶことができます。

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