へびつかい
(Ophiuchus)
名医アスクレピウス
再生不死の象徴である蛇をつかんでいる へびつかいは医師の祖アスクレピウスの姿です。彼はアポロンの子で,実は生まれる前に一度死んでいるのです。彼の母はアポロンの何番目かの妻コロニスですが,アポロンは彼女の不貞を許すことが出来ず,弓で射殺してしまいます。ところがアポロンはコロニスのおなかの中の子だけは助けたいと思い ケンタウロス族の賢人ケイロンに託しました。ケイロンはその胎児を蘇生させ,養育し,そして学問特に医術を授けました。アスクレピウスは長じてギリシア随一の名医になります。彼に治せない病はなく,戦いで怪我をした勇者や瀕死の病人をたくさん救いました。ところがやがてこの名医は死者をも蘇らせる治療をするようになりました。これは自然の摂理に違うことで,人間がしてはならないことだったのです。死者が来なくなった死の国の王ハデスは激怒し,ゼウスに訴えます。ゼウスもアスクレピウスを許しておくわけにはいかず,しかたなく彼の頭上に雷を落して命を奪ってしまいます。さすがの名医も自分自身を治すことはできませんでした。