いて (Sagitarius)
弓を射るケイロン


そのむかし,ギリシアの北の山々の洞窟にはケンタウロス族といわれる上半身は人間で,下半身は馬という化け物が住んでいました。ケンタウロス族は野蛮でしばしばギリシアを襲い,人々は恐れていました。その中でケイロンだけは文武両道に秀でたケンタウロスで,学者としても有名でした。彼はヘルクレス(ヘルクレス座),アスクレピウス(へびつかい座),カストル(ふたご座),イアソン(アルゴ船)などの若者を育てました。ケイロンは弓が得意で名射手といわれていましたが,ヘルクレスと他のケンタウロスと争いに巻き込まれ,毒矢に当たって命を落してしまいました。天にはもう一人(一頭?)ケンタウルスがいますが,それはフェロスと言う名で,ケンタウルス座になっています。

馬を知らなかった頃のギリシア人は,北方騎馬民族を怖がってこんな化け物を想像したのでしょうね。その野蛮な北方騎馬民族の子孫マケドニア人が,紀元前4世紀にはギリシアを併合し,エジプト・ペルシアを滅ぼし大帝国を築いています。