パプアニューギニアにパソコン寄贈,IDCEの対象は22ヵ国に

KCGは海外コンピュータ教育支援活動(IDCE)の一環として,このほど,学内で使用した53台のパソコンを,日本から南へ約4600km離れたパプアニューギニア独立国の高地にあるゴロカ大学に寄贈しました。今回の寄贈により,IDCEの対象国は22ヵ国となりました。

世界中に急速に広がる情報化の流れの中で,途上国の情報化の遅れはデジタルデバイド(情報格差)と呼ばれ,大きな問題となっています。ゴロカ大学でも,約1900人の学生に対して,大学所有のパソコンは約300台,学生が自由に使用できるパソコンとなると約100台(学生19人で1台)しかありませんでした。今回の寄贈で学生13人に対して1台となり,学生の学習環境も改善されます。ゴロカ大学は寄贈を喜び,新しく設ける大学院生向けのコンピュータ室の名前を,京都コンピュータ学院(Kyoto Computer Gakuin)の頭文字をとった『KCG Lab』と命名していただけるとのことです。

ゴロカ大学へのパソコン寄贈は,本学の教職員が,日本人スタッフが勤務するゴロカ大学の情報化の遅れを,テレビ番組を通じて知ったのがきっかけでした。

去る5月19日には,太平洋・島サミット(第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議 5月22日~23日)の参加のため来日したパプアニューギアのマイケル・ソマレ首相にKCG国際業務室長の西村祐二郎がお会いし,今回のパソコン寄贈の報告をいたしました。また,昨年11月1日開催のKCG創立45周年記念式典および記念祝賀会には,パプアニューギニア独立国のマシュー・ドレウェイ一等書記官にご参列いただき,ご挨拶を頂戴いたしました。

パソコン寄贈をきっかけに,今後の両校,そして日本とパプアニューギニア独立国の友好につなげていきたいと思っています。

パソコン寄贈に至る経緯

ゴロカ大学ICTマネージャーの原田武彦氏は,青年海外協力隊員として1997年から2年間,ゴロカ大学でコンピュータ技術を教え,帰国後も現地と日本を行き来していました。その後,パプアニューギニアの女性と結婚して,2007年から再び個人で契約しゴロカ大学に勤務しています。

今回のコンピュータ寄贈は,KCGの西村(青年海外協力隊として同国に1998年から2年半,日本語教師として活動)が,原田氏が勤めるゴロカ大学のパソコン不足を知ったことがきっかけとなりました。2008年6月8日(日)に読売テレビで放送された「グッと!地球便」でゴロカ大学の原田氏が取材を受け,番組内でゴロカ大学のパソコン不足が詳しく報じられました。

この番組の編集の際,取材内で通訳しきれなかった現地語(ピジン語)の通訳として西村が呼ばれました。録画されたVTRを見た西村が原田氏のために,そしてパプアニューギニアのためにできることはないかと,KCGとゴロカ大学,日本とパプアニューギニアの橋渡しをすることになりました。

URL http://www.ytv.co.jp/chikyubin/oa/080608.html

IDCE(International Development of Computer Education 海外コンピュータ教育支援活動)

1989年にKCGが開始した発展途上国のコンピュータ教育支援を行うプロジェクト。学院の中古パソコンを途上国に寄贈し,これを利用して,途上国のコンピュータ・リテラシー教育の開発・浸透を現地教育省・科学技術省との協力において図ろうとするボランタリー活動。パソコンの寄贈に合わせ,研修生の受け入れ,専門家の派遣などを続けている。現在まで寄贈パソコン台数は3000台以上にのぼる。支援対象国はタイ,ガーナ,ポーランド,ケニア,ジンバブエ,ペルー,スリランカ,中国,ブルネイ,マラウイ,ナイジェリア,モンゴル,キルギス,ボスニア・ヘルツェゴビナ,エリトリア,タンザニア,ウガンダ,モザンビーク,サウジアラビア,メキシコ,ミャンマーに,今回のパプアニューギニアを加え,合わせて22ヵ国に及ぶ。

2006年には,それらの活動が評価され,国連の専門機関の一つである財団法人日本ITU協会(国際電気通信連合)よりKCGの長谷川靖子学院長が「国際協力特別賞」を受賞した。パソコンを寄贈する際には,KCGの学生たちも清掃・梱包などのボランティアに参加し,国際協力の一翼を担っている。

URL
http://www.kcg.ac.jp/school_info/idce.html
http://idce-world.org/