第4代富田眞治学長を偲ぶ会,ご功績とお人柄に思いをはせました

第4代富田眞治学長を偲ぶ会。富田先生が優しくほほ笑む写真が飾られました(2025年1月25日,京都情報大学院大学京都駅前サテライト・京都コンピュータ学院京都駅前校大ホール)
第4代富田眞治学長を偲ぶ会。富田先生が優しくほほ笑む写真が飾られました(2025年1月25日,京都情報大学院大学京都駅前サテライト・京都コンピュータ学院京都駅前校大ホール)

京都情報大学院大学(KCGI)第4代学長で,2024年9月21日に78歳で逝去された富田 眞治先生=京都大学名誉教授=を偲ぶ会が2025年1月25日,KCGI京都駅前サテライト・京都コンピュータ学院(KCG)京都駅前校大ホールで催されました。故人ゆかりの教育関係はじめ各界の方々,友人,修了生・在学生などKCGグループ関係者ら多数が参列し,先生のこれまでのご功績と温厚なお人柄に思いをはせ,ご冥福を祈りました。

故富田学長はコンピュータアーキテクチャ分野研究の世界的権威で,機械命令レベル並列処理と汎用や専用並列コンピュータに関する先進的な研究などにより,今日の計算機システムの高速化に大きく貢献されました。KCGIでは次代を担うIT分野の高度専門職業人・応用情報技術専門家を育成するための最先端教育の展開をリードするとともに,豊富な知識と経験を活かして専門分野「人工知能」のカリキュラム構築に尽力されました。本学の教育と運営に精魂を傾け,学生たちに強く思いを寄せました。学長就任時には「終の棲家(ついのすみか)という言葉がありますが,私にとって本学はまさに終の学園であります。これまでの経験などを活かして,本学の喫緊の課題である生成AIの活用や国際化の一層の展開などについて,最大限の努力をしたいと思っております」と話し,学長となってからも「コンピュータ構成論」の講義を継続。その意欲は衰えることなく,逝去直前の2024年9月13日に挙行されたKCGI学位授与式・KCG卒業式に寄せた式辞でも,修了生・卒業生の努力をたたえ,激励されていました。

偲ぶ会では,参列者全員が黙とうをささげた後,長谷川亘 KCGI・KCG・京都自動車専門学校(KCGM)総長・理事長が主催者挨拶を述べ,「富田先生は,非常に多くのものを本学に残してくださいました。ご教授いただいたことは,本学の学生,修了生,教職員,関係者,皆にとって永遠の誇りであります。未来永劫,そのご功績を伝えていかなければならないと決意しております。お教えを今後に活かしていくことが,先生のご恩に報いることになると考えております」と追悼しました。

続いて寺下陽一 KCGI第5代学長,五十嵐淳 京都大学大学院情報学研究科研究科長・教授,故人と京大同級生で友人の金出武雄 京都大学高等研究院招聘特別教授・カーネギーメロン大学創始者記念全学教授と木戸出正継 奈良先端科学技術大学院大学名誉教授・元KCGI教授は二人で共に,それぞれ追悼の言葉を述べました。また,この日参列のかなわなかった方々から寄せられた弔電やメッセージが読みあげられました。

この後,著名ピアニストである多川響子KCGI教授が献奏。ショパンの「ノクターン第20番」「バラード第2番Op.38」,ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番Op.13『悲愴』より第2楽章」を,故富田学長への深い哀悼の気持ちを込め独奏しました。悲しくも美しい調べに,参列者一同は静かに聴き入りました。

最後に献花が行われました。参列者らは,優しくほほ笑みかける富田先生の遺影の前へ順に進み,故人とのお別れをしました。

この後,大ホール隣接のラウンジで故富田学長のご家族,友人,教育関係者などが参加して懇談会が催されました。それぞれの思い出などを語り合い,故人を偲びました。

◇ ◇ ◇

故富田眞治学長は京都大学工学部卒,同大学院博士課程修了(電気工学専攻),工学博士。京都大学大学院情報学研究科長,京都大学総合情報メディアセンター長,京都大学物質-細胞統合システム拠点特定拠点教授/事務部門長を務め,京都大学名誉教授に。九州大学教授などを経て2017年KCGI教授となり,2018年から副学長,2023年4月に第4代学長に就任しました。

この間,ハルピン工業大学顧問教授,博士課程教育リーディングプログラム委員会複合領域型(情報)委員,IFIP(国際情報処理連盟)TC10委員,情報処理学会理事,情報処理学会関西支部支部長,京都高度技術研究所客員研究部長,京都府ITアドバイザリーボード委員,総合科学技術会議専門調査会委員,京都府情報政策有識者会議委員長,電子情報通信学会フェロー,情報処理学会フェローなど数々の要職に就かれました。

第4代富田眞治学長を偲ぶ会で主催者挨拶を述べる長谷川亘 京都情報大学院大学・京都コンピュータ学院・京都自動車専門学校 総長・理事長(同)
第4代富田眞治学長を偲ぶ会で主催者挨拶を述べる長谷川亘 京都情報大学院大学・京都コンピュータ学院・京都自動車専門学校 総長・理事長(同)
カテゴリー: News

京情協がKCGグループと,女性コンピュータ先駆者をテーマに新春セミナー

京情協の新春セミナーで「コンピューターを誕生させた女性たちと京都の先駆者」と題し講演するBIPROGY株式会社の羽田昭裕氏(2025年1月24日,KCG京都駅前校6階ホール)
京情協の新春セミナーで「コンピューターを誕生させた女性たちと京都の先駆者」と題し講演するBIPROGY株式会社の羽田昭裕氏(2025年1月24日,KCG京都駅前校6階ホール)

京都コンピュータ学院(KCG)に事務局のある一般社団法人 京都府情報産業協会(会長:長谷川亘KCGグループ総長,京情協)が2025年1月24日,KCG,京都情報大学院大学(KCGI),京都府中小企業センターとの共催による新春セミナーをKCG京都駅前校6階ホールで開催しました。BIPROGY株式会社エグゼクティブフェローの羽田昭裕氏が「コンピューターを誕生させた女性たちと京都の先駆者~ダイバーシティ&インクルージョンの軌跡~」と題して講演し,同協会会員やKCG,KCGIの学生たちが聴講しました。

羽田氏は,日本ユニバック(現BIPROGY)入社以来,研究開発部門でシミュレーション,需要予測などの研究と実用化を進め,さらに企業システムのITコンサルタントとして活躍。同氏が所長を務めたBIPROGY総合技術研究所は,産学が連携して次代を担うIT人材を育成することを目的にした「未来環境ラボ」を,本学と共同で開設しています。

2024年7月に羽田氏は,米国のコンピュータ開発チームに参加した女性たちの物語「コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー:彼女たちは当時なにを思い,どんな未来を想像したのか」(キャシー・クレイマン著)を翻訳出版。講演では,世界最初の現代的コンピュータであるENIACの実用化に貢献した女性プログラマにスポットを当て,その功績を紹介しました。また,京都でコンピュータ教育に先駆的に取り組んだKCG創立者の一人である長谷川靖子学院長にも注目し,ロールモデルとなった米国と京都の女性先駆者について解説しました。

この日は,KCGグループと同社が「温故知新プロジェクト」と称して2024年秋より行ってきたUNIVAC1100/20のメンテナンスパネルランプを点灯させる取り組みの成果をKCG京都駅前校1階のKCGコンピュータミュージアムで実機と映像で紹介。併せてコンピュータの仕組みを分かりやすく解説するパネルも展示され,セミナーの前後には,多くの人が興味深く見入っていました。

メンテナンスパネルランプが点灯したUNIVAC1100/20の展示の前でプロジェクトメンバーが記念撮影(同,KCG京都駅前校 KCGコンピュータミュージアム)
メンテナンスパネルランプが点灯したUNIVAC1100/20の展示の前でプロジェクトメンバーが記念撮影(同,KCG京都駅前校 KCGコンピュータミュージアム)
カテゴリー: News

KCG・京都すばる高校一貫教育事業で,ハイフレックス教室を使い「生成AIの実践的な活用方法」がテーマの実証授業を実施

京都府立京都すばる高等学校と三重県立亀山高等学校,KCGの3校により遠隔講義システムを使って実施された実証授業。(2024年12月24日,京都すばる高等学校)
京都府立京都すばる高等学校と三重県立亀山高等学校,KCGの3校により遠隔講義システムを使って実施された実証授業。(2024年12月24日,京都すばる高等学校)

京都コンピュータ学院(KCG)と京都府立京都すばる高等学校(京都市伏見区,貴島良介校長),三重県立亀山高等学校(三重県亀山市,廣島朗校長)の3校が2024年12月24日,KCGのグループ校京都情報大学院大学(KCGI)百万遍キャンパスに設置されているハイフレックス(Hybrid-Flexible)仕様教室の遠隔講義システムを使って「生成AIの実践的な活用」をテーマとした実証授業を実施しました。生徒・学生たちはGoogle Geminiのアプリでプロンプトに対する文章や画像が生成される状況を体験しました。

文部科学省から採択された,KCGと京都すばる高校が連携して一貫教育することによりIT人材を育成する「専門学校・高等学校連携による中核的IT専門職人材の加速型育成プログラムの開発・実証」プログラムの一環行事。これに賛同した亀山高校も参加し,最先端のIT教育環境での学びを体験しました。

授業のテーマは「生成AIの実践的な活用方法」とし,まず産業界から本プロジェクトへの協力をいただいているBIPROGY株式会社様に,「あなたはICTでどんな未来をつくりたいですか」と題し,最新ICTに活用されているAIやその動向などについて講演してもらいました。その後,生成AIの原理,何ができるのか,何に注意して利用すべきかについて講義。この中で,生成AIは何をどのように学習するのか概要を説明し,利用するに当たって便利な点と,注意する点例えば画像などで他人の著作物に似ているものを生成してしまう可能性のあることを説明しました。また,どのような文言を生成AIのプロンプトに含めるとより期待した結果に近いものが生成されるのか,実践的な利用について講義しました。
それら,基本的な知識,注意点を押さえたうえで,生徒はGoogleのGeminiを用いて,クラブ活動への参加勧誘ポスターや,そこに記載するイラストの生成など,自分たちでテーマを決め,生成AIを用いて作業をより効率化する実習を行いました。
今回の授業ではハイフレックス環境の下,実習を伴う授業においても効果的な授業ができることを,狙いとしました。生成AIに同じようなプロンプトを入力しても,前後のプロンプトで何を入力してきたかによって生成結果が異なる場合があります。生徒はお互いのパソコンの画面を共有することで,他の生徒の生成結果を見られ,特にイラストなどはその出来具合を全生徒と共有することができました。自分たちでは思うような絵が描けなくとも生成AIを用いれば面白い絵が描けることを体験し,どのようなプロンプトを入力すれば絵がどのように変化するのかなど,実際に使ってみることで生成AIをより理解していたようです。
最後に各校ごとに自分たちのテーマの成果を発表しました。この時にも,お互いの成果物を画面共有で見せ合いました。
生徒からは,「生成AIで何ができるのか,具体的に理解できた」といった感想が聞かれました。またプロンプトの入力によって結果が異なることについても理解したようです。ハイフレックス環境における実習授業において,お互いの画面が見えるので,イラストのような言葉では表現しにくいものでも効果的に内容や結果を伝えることができるので良かったとの意見が多くありました。

KCGと京都すばる高校の「専門学校・高等学校連携による中核的IT専門職人材の加速型育成プログラムの開発・実証」は,2021年10月に文部科学省の「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」に採択されました。デジタル技術の進歩によりビジネスや産業構造が変革する中にありながら,わが国においてはIT人材,とりわけ専門知識に精通し技術部門と経営部門両面をビジネスとしてとらえることができる中核人材の不足が深刻化しています。そのような中,職業系専門学科がある高等学校と専修学校が連携し,効率化された一貫カリキュラムを開発,実施することで技術系分野の教育を加速させ,5年間でIT中核人材を育成するのが狙いです。一貫カリキュラムは京都すばる高等学校 情報科学科の2022年4月入学生から適用しています。

KCGIのハイフレックス仕様教室は,グループワークやプレゼンテーションなど,学生が主体となって参加するアクティブラーニングによる能動的な学習や,対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業などさまざまな授業・講義形態に柔軟に対応できるよう設計されています。スマートディスプレイや集音マイク・スピーカーなどを装備し教育と学習のためのシームレスな環境を構築し,教室内やオンライン上など受講する場所の影響を受けず一緒に授業・講義を受けることができます。 教室内の壁は全体がホワイトボードとして利用でき,アイデアボードとしても機能します。

生徒・学生たちは,遠隔システムを利用してお互いの成果物を画面共有しながら発表しました。
生徒・学生たちは,遠隔システムを利用してお互いの成果物を画面共有しながら発表しました。
カテゴリー: News

京都府警・京都市依頼のKCG・KCGI学生制作防犯動画が完成,市内で放映が始まりました

KCGアート・デザイン学系の学生が京都府警,京都市の依頼を受け痴漢・盗撮対策動画を制作しました
KCGアート・デザイン学系の学生が京都府警,京都市の依頼を受け痴漢・盗撮対策動画を制作しました

京都府警察本部サイバー対策本部サイバー企画課と京都市文化市民局くらし安全推進部から,増加傾向にある犯罪や条例違反の防犯・防止につなげるため制作依頼を受け,京都コンピュータ学院(KCG)アート・デザイン学系と京都情報大学院大学(KCGI)の学生たちが作業を進めてきた動画が完成し,2025年1月から京都市役所内モニター(5カ所)と,JR京都駅南北自由通路および地下鉄四条駅デジタルサイネージでの放映が始まりました。学生らしい若者の視点から制作された動画に足を止めて見入る人もあり,KCGグループが犯罪防止の啓蒙に少しでも役立てる活動ができたことがうかがわれます。

これまでに,性犯罪防止につながるスマートフォンアプリ開発(KCG,2015年)や,「サイバー空間の脅威への対処を担う優秀な人材の育成に関する協定」締結(KCGグループ,2016年)などでつながりのあった京都府警と京都市から動画制作の打診があったのは2024年春。学内で制作者を募集したところ,痴漢・盗撮対策動画をKCGの学生9名,客引き防止動画をKCGIの学生2名が担当することが決まり,9月から府警,市の担当者と協議を重ねながら制作してきました。完成した動画はそれぞれ縦,横の2パターンがあり,イラストを使うなどしながら「盗撮は犯罪 一度の行為で大切なものは 一瞬にして失われていきます」「客引きにはついていかないで はっきり断ってください!」といったメッセージを強く打ち出しています。客引き防止動画は,京都市の公式YouTubeでの公開も予定,痴漢・盗撮対策動画も合わせ,京都市内の各量販店などでの放映を計画しています。

KCGの学生は,合わせて依頼を受けたSNS詐欺対策を啓発する紙袋のデザイン(書店の書籍購入者向け)も制作中で,近く完成する見込みです。

KCGIの学生は客引き防止動画を制作しました
KCGIの学生は客引き防止動画を制作しました
カテゴリー: News

寺下教授がKCGI第5代学長に就任

京都情報大学院大学(KCGI)の学長に2025年1月1日付で,寺下 陽一教授・副学長が就任することが決まりました。任期は2028年3月31日までです。KCGIを運営する学校法人 京都情報学園(長谷川亘理事長)の理事会で決定しました。寺下学長は第5代となります。寺下副学長は,第4代の富田 眞治学長が2024年9月21日に逝去したことに伴い,学長代行に就いていました。

寺下 新学長の経歴は次の通りです。

寺下 陽一(てらした・よういち)
京都大学理学士,(米国)アイオワ大学大学院博士課程修了(物理天文学専攻),Ph.D.
京都コンピュータ学院上級教員,金沢工業大学名誉教授,元国際協力事業団派遣専門家(情報工学),元京都コンピュータ学院洛北校校長,京都コンピュータ学院京都駅前校校長。専門はデータベース,データウェアハウス,データマイニング,ビジネスインテリジェンス(BI)。2006年から京都情報大学院大学副学長。

カテゴリー: News