ヨコオタロウ氏による特別講義・作品指導会を開催

京都コンピュータ学院(KCG)は2022年11月13日,日本を代表するゲームクリエイターのヨコオタロウ氏をお招きし,ゲーム制作に関するセミナーおよび即興での企画書作成講座,学生作品の指導会を開催しました。

ヨコオタロウ氏(以下,ヨコオ氏)は,株式会社ナムコ,株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントを経て,株式会社キャビアへ入社。デザイナーとして経験を積んだ後,「ドラッグ オン ドラグーン」シリーズや『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』のディレクションを担当されています。株式会社キャビアを退社後に株式会社ブッコロを立ち上げ,2017年に『ニーア オートマタ』,2021年4月には『ニーア レプリカント ver.1.22474487139…』をリリース。近年は,スマートフォン向けアプリ『シノアリス』『ニーア リィンカーネーション』や,テーブルトークRPGやゲームブックをモチーフにして全てを「カード」で表現した「Voice Of Cards」シリーズ,漫画『君死ニタマフ事ナカレ』『吉野家兄弟』や舞台の原作などでも,幅広く活躍されています。

セミナーでは,「ゲームを『想像』する事」をテーマに,3Dアクションゲームを制作する際にはどこまで想像し,どのように対応していくべきであるのか,具体例を挙げながらご講演いただきました。
3Dアクションゲームにおいてプレイヤーが取れる行動は多くあり,宝箱やアイテムを探してダンジョンなどをくまなく歩きまわる人もいれば,探索はせずに真っすぐに出口やボスを目指す人もいるなど,プレイヤーの数だけ遊び方や歩くルートも異なりますので,それらを意識したゲームの作りや演出が重要となります。
例えば広い部屋の中央にボスがいて,ボスに近づくと,戦いの前にボスとプレイヤーが操作するキャラクターが正面同士で対峙する映像が流れる演出があるとします。ただし先述のとおり,部屋に入って中央のボスに正面から真っすぐ向かう人ばかりではなく,部屋を探索しつつボスの側面から接近する人が出る可能性もあります。そのようにボス戦への入り方が人によって異なる可能性がある作り方をしているのに正面から近づく前提の映像しか準備していないと,正面以外から接近したプレイヤーは自分の遊び方を否定されたように感じて冷めてしまうことがあるとのことでした。ヨコオ氏からは,そうならないように部屋の入り口に到達した段階で映像が流れるようにして準備している映像との不一致が発生しないようにするか,ボスへの近づき方がプレイヤーごとに異なっても問題が無いように映像の内容を考えるか,具体的な選択肢や映像演出方法を示しながら解説が行われました。その他にも仲間を失った直後など深刻な状況では,ミニゲームなど勝った際に喜びやガッツポーズなどのアニメーションや感情表現が発生するものを一時的にプレイできないように制限するところまで想像して制作することが,プレイヤーをゲームの世界に引き込むうえで重要であると強調されました。
続いて実施された即興での企画書作成講座では「関西」をテーマにした物語の企画書を作成。企画の中身を固めていくための手法や,企画書に掲載する文字数をページや項目ごとにあらかじめ決めておくといった普段の作成されている手順なども紹介され,受け取る相手がすぐに理解できる企画書を実現するためのアドバイスを分かりやすく説明していただきました。

質疑応答では,「ゲームにおける音楽・音の役割の大きさ」や「日々意識されていること」などの質問が出ました。ヨコオ氏からは,ゲームにおける音楽・音は重要でゲームを作っている人が作曲するかどうかで出来上がりに違いが出るケースがあること,未知のジャンルの音楽についてはしっかりと分かる人に必ずお願いをしていること,また日々意識していることでは,ユーザーである一般の方と同じ感性を保つことを大切しているなど,具体的な事例を挙げて回答していただきました。

最後にKCGの各学年の学生が制作した企画書やゲーム作品に対し,ヨコオ氏から講評をいただく作品指導会を実施。今回のセミナーや即興企画書作成の中で説明された内容を振り返りながら,ヨコオ氏にプレイしてもらい操作感やゲームの内容について具体的にどこが良く,どこに改善点があるのか,分かりやすく講評をいただきました。ヨコオ氏は「作品講評の場に作品を出したり,セミナーがあれば参加してしっかりと聴講したりするなどの前向きな取り組みが重要。自分自身の可能性を広げられるはずなのでこれからも継続してください」と,業界を志す学生らに向けてエールが送られました。

ヨコオタロウ様,貴重なお話をいただきありがとうございました。