「ゲームクリエイター甲子園」で学生作品が上位入賞,高評価を得ました!

ゲーム制作に携わる学生クリエイターを対象にしたインディーゲームのコンテスト「ゲームクリエイター甲子園 2022」が12月17日に開かれ,京都コンピュータ学院(KCG)ゲーム学科の豊田さんが制作した2Dパズルアクションゲーム『Out of the World』が,約900作品の中から「総合賞 第4位」となり,企業が選ぶ特別賞では「ゲームデザインラボ賞」「Phoenixx賞」「SEモバイル・アンド・オンライン賞」を受賞しました。KCGに入学してからゲーム制作について学び始めた豊田さんは,さまざまなコンテストで入賞を果たしています。

「総合大賞」の審査員および審査時の評価ポイントは次のとおりです。

【総合大賞 審査員】

  • 稲船敬二氏
    LEVEL5 comceptのCCOで元カプコン常務執行役員。カプコン在籍時は『ロックマン』のキャラクターデザイン担当やプロデューサーを担当し,その後『鬼武者』『デッドライジング』など数々のヒット作を手掛ける。
  • 今村孝矢氏
    任天堂で「F-ZERO」「スターフォックス」「ゼルダの伝説」シリーズなどでゲームデザイン,アートディレクターなどを担当したゲームクリエイター。「スティールダイバー」シリーズ,『タンクトゥルーパーズ』ではディレクターを担当。
  • 榊原寛氏
    「BioShock」シリーズなどを開発する2K Gamesや,「ウィッチャー」シリーズや『サイバーパンク2077』などを開発するCD PROJEKT REDなど,海外3カ国の大手ゲームスタジオにエンバイロメントアーティストとして10年近く所属し,大規模オープンワールドゲームの背景班とりまとめ役等を担当した実績を持つゲームクリエイター。現在は個人で開発を行い,「NOSTALGIC TRAIN」などを手掛ける。
  • 松山洋氏
    株式会社サイバーコネクトツーの代表取締役兼ディレクター。「.hack」シリーズや『戦場のフーガ』をはじめ,『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』『ドラゴンボールZ KAKAROT』『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR』などを手掛ける。
  • 吉田修平氏
    ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)でインディーズゲームを推進するインディーズ イニシアチブ代表を務め,「BitSummit」では毎年ステージイベントに登壇。1993年2月に現SIEに参画して以降,数多くの「プレイステーション」プラットフォーム向けタイトルをプロデュースし,2008年よりゲーム制作部門であるSIE ワールドワイド・スタジオ プレジデントに就任。「ゴッド・オブ・ウォー」「アンチャーテッド」シリーズの制作を担当し,「PlayStation®VR」の開発にも携わる。

【総合大賞 評価ポイント】

  • ①独自性や独創性のあるおもしろさ
  • ②ユーザーへ伝わるか
  • ③ゲームサイクルとして成立しているか
  • ④プレイ体験の良さ/全体の完成度
  • ⑤努力や細部への突き詰め
  • ⑥商品化/マネタイズ面の評価

豊田さんの作品『Out of the World』は,プレイヤーが操作するキャラクタの視界に入ったものだけが表示され,逆に視野外の床や壁などの物体が消えていく2Dパズルアクションゲームです。自分の記憶を頼りに進むスリルと,その記憶が正しかった時の快感を楽しむ作品となっています。受賞理由について,審査員からは以下のように講評されました。

  • 松山氏 「通常ゲームを作る際には,より豪華にしたり情報量を増やそうとしたりしてしまう中,ものや情報を無くす不自由さやジレンマを実にオシャレにゲームデザインとしてまとめられています。そこに加えて制作におけるテクノロジーの高さも光っていました」
  • 稲船氏 「すごく独創性があり,独自の世界を持っているゲームで驚きました。少し操作が難しく感じられますが,ゲームとして重要な独創性が飛びぬけていました」
  • 吉田氏 「全作品の中で一番個性的で,面白かったです。ゲームのギミックのアイデアもさることながら,プレイする間にあるキャラクタの孤独を感じさせる演出がキャラクタの人生を感じさせるようで,先をもっとプレイしたくなるような魅力があるゲームでした」
  • 今村氏 「独特の世界観が素晴らしいです。フィルムライクなフィルターだったり,アンビエントBGMだったり,フォントへのこだわりなど,開発者のこだわりとセンスが伝わってくるゲームでした。クリア時の演出を加えることでさらに素晴らしくなると感じました」
  • 榊原氏 「単純な絵柄でありながら技術が凝っていて,独特の世界観を作り出しています。個人的にお気に入りの作品。すごくシンプルな白と黒だけの絵柄ですが,ちょっとしたお話(シナリオ)もあってそれが深く,このネット社会の風刺みたいに『見えているものが全てだ』といったことがさりげなく書かれていて,そういったものがゲーム性だけでなく,世界に深みを与えています。ギミックのアイデアの新しさ,徐々にステージを難しくしていくレベルデザインがすごく上手で,失敗しても試行錯誤しながら最後まで遊びたくなるモチベーションづくりがとても上手いです。これを一人で制作したのはすごいです」

また「星のカービィ」シリーズでディレクターを務め,数多くの有名作品に携わってきたゲームデザインラボの濱村崇氏は,コンテストの発表授賞式で豊田さんの作品を特別賞に選んだ理由について「この作品は本当に素晴らしくて,いいところを挙げるとキリがないです。普通に作ると,プレイヤーの視点(プレイ中に注目する赤い線の先)とゲーム内における変化する場所(キャラクタの視界から外れて消えていく床など)が別の場所になっていて,成立させるのはとても難しいです。多くの人はそこで諦めてしまうのではないでしょうか。そこをハイコントラストにして,地形だけしか描画しないようにして目立たせて解決しています。一方で,単純にそれだけをやってしまうとシンプルなパズルにしかならないところで,そこからさらにハイコントラストのモノクロでできたものを世界観として自然に見せるところまでもが,一つの新しい試みとして成功してしまっています」と高く評価されました。

今回の結果を受けて豊田さんは,受賞に満足して終わることなく,今後も同作の開発を継続して販売まで成し遂げたいとのことで,現在も制作に取り組んでいます。

『Out of the World』の紹介映像や体験版は次のページで閲覧・取得が可能です。ぜひプレイしていただき,プレイ後のアンケートへのご協力もお願いします。
https://gameparade.creators-guild.com/works/563

また豊田さんのようにKCGに入学しゼロからゲーム制作を学び始めた学生が,どのようなカリキュラムで学び,作品制作に取り組み,コンテストで結果を出せるようになったのか,豊田さんがデジタルゲーム学系主任の髙橋功先生とともに受けたゲーム開発者向けメディアの取材で語られています。ぜひこちらもご覧ください。

KCGデジタルゲーム学系の教育内容がメディアから取材を受け掲載されました
https://www.kcg.ac.jp/news/2022/12/48301/